人手不足・困った

電話番のせいで仕事が進まない|一次対応を自動化する4つの選択肢

最終更新:2026.08.07 / AI参謀 編集部
電話番のせいで仕事が進まない|一次対応を自動化する4つの選択肢

「かかってきた電話に出ているだけで午前中が終わる」「自分の仕事は結局、みんなが帰った後」——電話対応の多さに悩む中小企業は本当に多いです。しかも厄介なのは、電話が奪っているのが「対応した時間」だけではないということ。この記事では、電話が業務に与えている本当のコストを可視化する方法と、一次対応を減らす4つの選択肢を、判断基準つきで一緒に整理していきます。

⏱ 忙しい人向け 3行まとめ

  • 電話の本当のコストは「対応時間+集中が切れた後の立て直し時間」。3分の電話が実質10分以上を奪っていることがある
  • 打ち手は4つ——自動音声で振り分ける/そもそも電話させない/人に任せる(電話代行)/AIに受けさせる。どれか1つではなく組み合わせる
  • 最初にやるのは導入ではなく1週間の「電話メモ」。用件を数えれば、8割が数種類の定型に集中していることが見えてくる

電話が奪っているのは「対応時間」だけではない

電話対応の負担を相談されたとき、多くの経営者はこう言います。「1本3分くらいだから、たいしたことないはずなんだけど」。ところが現場は明らかに疲弊している。この差はどこから来るのでしょうか。

答えは中断コストです。見積書を作っている途中、頭の中で条件を組み立てているときに電話が鳴る。3分話して受話器を置いても、さっきまで考えていたことはもう頭から消えています。どこまでやったかを思い出し、資料を開き直し、集中し直すまでに数分かかる。3分の電話が、実質10分以上を持っていくのはこのためです。

3
実際に話した時間
+7分〜
集中を戻すまでの立て直し時間
10本/日
なら1日100分=月35時間規模

この数字はあくまで考え方の例で、業種や業務内容によって変わります。ただ「体感的につらい」の正体が中断にあることは、多くの現場で共通しています。だからこそ、対策の目的を「電話をゼロにする」ではなく「集中が切れる回数を減らす」に置くと、打ち手が選びやすくなります。

もう一つ見逃されがちなのが、電話が特定の人に集中するという問題です。「あの人が一番詳しいから」と、気づけばベテラン1人が事実上の電話番になっている。その人の本来の仕事が止まり、周囲は「取りづらい」と感じてさらに任せる。属人化と人手不足が同時に進行する典型パターンです。

💡

ここがポイント

電話対応の悩みは「人が足りない問題」に見えて、実は「入り口の設計問題」であることがほとんどです。人を増やしても、入り口の作りが同じなら電話は同じだけ鳴ります。まず入り口を設計し直すほうが、費用も時間も少なく済みます。

まず1週間、電話の中身を数える

いきなりサービスを選ぶ前に、必ずやってほしいことがあります。それは1週間、電話の用件を記録することです。精緻な集計は要りません。電話のそばにメモ用紙を1枚置き、切るたびに一言だけ書く。それだけです。

  1. STEP1:メモ用紙を1枚置く

    「時刻/誰から/用件を一言/対応にかかった時間(ざっくり)」の4項目だけ。専用フォームを作り込むと続かないので、紙が一番確実です。

  2. STEP2:1週間ためる

    週の中で偏りがあるため、最低5営業日は続けます。取りこぼしがあっても構いません。傾向が分かれば十分です。

  3. STEP3:用件でグループに分ける

    似た用件をまとめて多い順に並べます。ここで「上位数種類で全体の大半を占める」ことがほぼ確実に見えてきます。

実際にやってみると、中小企業の電話は驚くほど似た用件に集中しています。よくあるのは次のような内訳です。

用件のタイプ中身の例相性のいい打ち手
担当者への取次ぎ「◯◯さんお願いします」自動音声での振り分け
決まった質問営業時間・場所・料金・在庫の有無Webでの自己解決(FAQ・チャット)
予約・変更・キャンセル日時の調整、来店予約Web予約/AI応答
営業電話・売り込み広告・システム・求人媒体の提案一次受けの自動化・電話代行
本当に人が要る用件クレーム、複雑な相談、緊急対応ここに人を残す

この表の一番下の行が大事です。目的は電話を全部消すことではなく、上の4行を減らして、一番下に人の時間を集中させることです。

一次対応を減らす4つの選択肢

用件の内訳が見えたら、打ち手を当てていきます。選択肢は大きく4つです。

① 自動音声で振り分ける

「ご用件の方は1を…」の仕組み(IVR)。取次ぎの手間を減らし、担当に直接つなぐ。比較的安価で導入しやすい。

② そもそも電話させない

FAQページ・チャット・Web予約・問い合わせフォームを整え、電話しなくても解決できる状態を作る。効果は最も持続的。

③ 人に任せる(電話代行)

外部の代行サービスが一次受けし、内容を通知してくれる。導入が早く、判断が要る用件にもある程度対応できる。

④ AIに受けさせる

AI電話・ボイスボットが音声で応対し、用件の聞き取りや定型回答、折り返し受付を行う。24時間対応しやすい。

それぞれ得意分野が違います。並べて比べると、自社にどれが向くか見えてきます。

 ① 自動音声② 自己解決③ 電話代行④ AI応答
減らせるもの取次ぎの手間電話の本数そのもの一次対応の時間定型対応の時間
立ち上がり早いやや時間がかかる最も早いやや時間がかかる
費用感低め制作費+更新の手間件数に応じて増える月額型が中心
向く会社取次ぎが多い同じ質問が多い今すぐ止血したい時間外の電話が多い
苦手なこと本数は減らない即効性がない件数が増えると割高例外的な用件
📌

「①か②か④か」ではなく、順番の問題

4つは競合しません。実務では「まず③で止血し、並行して②を整え、定着したら①④で仕組み化する」という順番が現実的なことが多いです。いきなり④から入ると、何を任せるかが決まっていないまま導入して使われなくなります。

④のAI応答について、少しだけ補足しておきます。ここ数年で音声認識と応答生成の精度が上がり、「用件を聞き取ってテキストで通知する」「よくある質問に音声で答える」「折り返しの希望日時だけ受け付ける」といった動きは、以前よりずっと現実的になりました。一方で、感情的になっているお客様への対応や、前提を共有していない込み入った相談は、今も人のほうが確実です。AIに任せるのは「型が決まっている入り口部分」、人が担うのは「関係と判断が要る部分」——この線引きを先に決めておけば、期待外れも起きにくくなります。

また、③の電話代行と④のAI応答は、どちらも「受けた内容がテキストで手元に届く」という共通の効果があります。実はこれが、時間短縮そのものより効くことがあります。誰にどんな用件で電話が来ているかが、初めて記録として残るからです。これまで受けた人の頭の中だけにあった情報が可視化されると、「この質問はFAQに載せよう」「この取次ぎは自動化できる」と、次の打ち手が自然に見えてきます。

自社に合う打ち手の決め方

どれを選ぶかは、1週間のメモの結果から機械的に決められます。判断の軸は次の3つだけです。

  1. 軸1:一番多い用件は「取次ぎ」か「質問」か

    取次ぎが最多なら①自動音声。同じ質問の繰り返しが最多なら②自己解決。ここで大半の会社は決まります。

  2. 軸2:営業時間外にどれだけ鳴っているか

    時間外・昼休みの着信が多いなら④AI応答の価値が上がります。逆に時間内に集中しているなら、まず①②で十分なことが多いです。

  3. 軸3:今月中に楽になる必要があるか

    現場が限界なら、まず③電話代行で止血します。仕組み化は、呼吸ができるようになってから考えれば間に合います。

うまくいく進め方

1週間数えて、一番多い用件を1つだけ潰す。効果を「電話が何本減ったか」で測り、次の用件に進む。

ありがちな失敗

「電話対応を全部自動化する」と大きく構えて、要件定義が終わらないまま半年が過ぎる。現場は今日も電話を取っている。

特に②の自己解決は、効果が出るまでに時間がかかる代わりに、一度整えると効き続けるのが特徴です。よく聞かれる質問トップ10をFAQページにまとめ、電話口で「ホームページに詳しく載せてあります」と案内できる状態を作る。地味ですが、半年後に一番効いているのはたいていこれです。

補助金で導入費用を抑えられる場合がある

電話の一次対応を自動化する取り組みは、内容によっては国の補助制度の対象になることがあります。ITツールやシステムの導入であればデジタル化・AI導入補助金、人手不足の解消に資する設備・システムであれば省力化投資補助金が候補になります。

ただし制度の対象範囲・補助率・補助上限額・締切は公募回や年度によって変わります。「去年これで通った」という話が、今回そのまま当てはまるとは限りません。検討する場合は、必ず最新の公募要領を公式サイトで確認するか、専門家に相談してください。申請にはGビズIDプライムアカウントが必要になる制度が多く、取得に日数がかかる点も先に押さえておくと動きやすくなります。

⚠️

補助金ありきで決めない

「補助対象だから」を理由にツールを選ぶと、自社の用件に合わないものを導入しがちです。先に「どの用件を減らすか」を決め、そのうえで対象になるかを確認する順番を守ってください。補助金は目的ではなく、決めた投資の負担を軽くする手段です。

始める前のチェックリスト

つまずきポイント

「全部の電話をなくそう」として、誰も幸せにならない

一番多い失敗が、いきなり全件を自動応答に切り替えてしまうケースです。既存のお客様が「電話がつながらなくなった」と感じると、信頼を失うほうが早く効いてきます。まず削るべきは、営業電話の一次受けや、時間外の着信、繰り返し聞かれる定型質問——つまり、既存顧客との関係に影響しにくいところからです。

導入したのに、結局みんな電話を取ってしまう

自動音声やAI応答を入れたのに、鳴ると誰かが反射的に受話器を取る。これでは何も変わりません。原因はたいてい「取らないと不安」だからです。着信内容がテキストで通知され、後から確認できる状態を作ると、この不安は解消します。仕組みそのものより、「取らなくていい」と全員が納得できる状態を作るほうが重要です。

よくある質問

Q. 電話をやめると、お客様が離れてしまいませんか?

A. 「電話をやめる」ではなく「電話以外の入り口を増やす」と考えるのが現実的です。急ぎの用件は電話、それ以外はフォームやチャットという住み分けができると、電話がつながりやすくなり、かえって満足度が上がるケースもあります。まずは既存のお客様に影響が出にくい範囲——たとえば営業電話や求人応募の一次受けから始めるのが安全です。

Q. AI電話やチャットボットは、うまく答えられなかったらどうなりますか?

A. 多くのサービスは「答えられない場合は人につなぐ/折り返しの受付だけして終話する」といった動きを設定できます。全部をAIに任せる前提ではなく、定型の用件だけAIが処理し、それ以外は人に渡す設計にしておくのが安全です。導入前に、どの用件をAIに任せ、どこで人に切り替えるかを決めておきましょう。

Q. 小さい会社でも費用に見合いますか?

A. 判断は「電話に使っている時間×時給」で計算できます。たとえば1日1時間が電話対応と中断リカバリに消えているなら、月20時間強。この時間の人件費と、月額数千円〜数万円のサービス費用を比べると、費用対効果は見えやすくなります。導入内容によっては補助金の対象になる場合もありますが、制度は公募回・年度で変わるため、最新は公式や専門家で確認してください。

「人が足りないのに、何から手をつければいいか分からない」——そんな時は。

AI参謀を運営する株式会社オタツーは、EC運営代行4,000件以上の現場で培ったAI活用の知見をもとに、中小企業のAI導入・業務省人化を伴走支援しています。補助金の活用可否も含めて、まずは無料でご相談ください。